紙芝居

【紙芝居】

子供の頃、紙芝居を自転車に乗っけた小父さんがやってきた。隣の集落との境はJR線のガード(小さな鉄橋)だったので、そこで子供達は小父さんの客寄せの拍子木を私たちのエリアの子供たちに渡すのである。拍子木を受け取った子供は小父さんの横に並んで、「紙芝居が来たよ!」と囃したてて歩くのが仕事だ。大体はその地区のボス(大体小学6年生)で、その子は紙芝居がタダで見られる特典があった。それ以外の子は薄焼き煎餅にソースを挟んだもの(確か¥5、割り箸に水飴を付けて、自分で捏ねるものは¥10だったような気がする。上映会場は消防ポンプ小屋の前の僅かなスペースに10人位集まると始まった。

水飴を捏ねながら、わくわくしながら紙芝居をみると、小父さんは、次のエリアに移動していく。私たちは何事もなかったかのように、また缶けりや鬼ごっこを始めるのであった。