草いきれ

大人の背丈を超えるほどに大きく育ったカヤ、昨年の枯れたススキ、田圃の畦道に育った雑草。農家の人が見事に刈り取っていく。後には刈り取った雑草が塊になっていく。その脇をウオーキングで通り過ぎると、何ともいえないような草いきれの香りが漂っている。そして、スズメや名も知らないいろいろな鳥が虫をついばんでいる。ベンチに腰掛け、その香りをしばらく嗅いでいると石川啄木の「不来方のお城の草に寝ころびて…」が頭に浮かぶ。青空がどんどん青さを増していく。(名も知らないウオーキング仲間が、「おはよう」と声を掛けて通りすぎる。声のあまり出ない私は頭を下げるだけで勘弁してもらうが、幸せを感じている。そして、気持ちの良い汗を拭く。